コーヒーの精製処理方法とは?ナチュラル・ウォッシュドの違いを解説!

コーヒーの味わいに大きな影響を与える要素の一つが、精製処理方法です。
コーヒーチェリーから生豆(グリーンビーンズ)を取り出す際に使用される方法には、主に「ナチュラル」と「ウォッシュド」があります。
この2つの処理方法の違いは、コーヒーの風味に独自の個性を与えます。
目次
1. 精製処理方法の違い
ナチュラル(自然乾燥)
ナチュラルプロセスでは、コーヒーチェリーを果肉がついたままの状態で乾燥させるため、豆に果実の風味が移りやすく、甘さやフルーティーな香りが強調されます。天候や乾燥時間に左右されるため、管理には高度な技術が必要ですが、しっかりとした甘みと豊かな風味が生まれます。
1. コーヒーチェリーが熟したら収穫します。この段階では、果実がまだ豆に覆われたままです。
2. 収穫後、チェリーを天日干しにして乾燥させます。乾燥場では、チェリーが均等に乾燥するように数時間おきにかき混ぜます。この過程は2~4週間かかることが一般的です。
3. 完全に乾燥したチェリーから果肉と外皮を取り除き、コーヒー豆(生豆)が得られます。この段階では豆に果肉の香りや甘みがしっかりと移っています。
ウォッシュド(湿式処理)
ウォッシュドプロセスでは、果実の風味よりもコーヒー豆自体の純粋な風味が引き出され、クリーンで明瞭な味わいが特徴です。プロセス全体がコントロールされやすいため、一定の品質が保たれやすくなります。
1. コーヒーチェリーを収穫後、すぐに果肉を取り除きます。通常、機械で外皮を取り除き、豆だけを残します。
2. 残った豆を発酵タンクに入れ、数時間から数日間発酵させます。この発酵によって、豆に残っている果肉や粘液質が分解されます。
3. 発酵が終わったら、水でしっかりと洗浄し、乾燥場に移します。乾燥は数日から数週間かけて行われ、最終的にコーヒー豆が完成します。
2. 生豆の色の違い
ナチュラルプロセスで精製されたコーヒーの生豆は、全体的に少し濃い緑色や茶色がかっていることが多く、乾燥過程で果実の色素が少し残ることがあります。
ウォッシュドプロセスの生豆はより鮮やかな緑色で、色ムラが少なく整った見た目が特徴です。
この色の違いは、コーヒーがどのような環境で処理されたか、またどれだけ丁寧に管理されたかを示す手がかりとなります。特にナチュラルは天候や管理状況に大きく左右されるため、生豆の色に微妙な違いが出ることがあるのです。
3. 味の違い
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ナチュラルプロセスのコーヒーは、果肉と一緒に乾燥させることで、果実由来の甘さやフルーティーさ、複雑な香りが引き出されます。特にベリーやトロピカルフルーツのような風味が強調されることが多く、甘みやボディがしっかり感じられます。一方で、管理が難しいため、品質にムラが出やすいこともあります。
ウォッシュドプロセスのコーヒーは、果肉が取り除かれた状態で処理されるため、クリーンで透き通った味わいが特徴です。酸味が際立ち、豆本来の風味がダイレクトに感じられるため、フローラルな香りや爽やかな酸味が好きな方に好まれることが多いです。品質が安定しやすく、クリアな味わいが特徴です。
4. ナチュラルとウォッシュドの歴史的背景や起源
ナチュラルプロセス
ナチュラルプロセスは、エチオピアやイエメンといったコーヒー発祥の地で古くから行われてきました。これらの地域は乾燥した気候で、水資源が限られていたため、果実ごと乾燥させる方法が自然な選択となりました。この方法は、水の節約や工程のシンプルさから多くの農家で採用されましたが、一方で乾燥時間が長く、品質管理が難しい点が課題となります。それでも、ナチュラルプロセスは今でも広く行われ、特にエチオピアやブラジルではこの方法が多く用いられています。
ウォッシュドプロセス
ウォッシュドプロセスは、19世紀頃に中南米で普及しました。特にコロンビアやグアテマラなど、気候が湿潤で水資源が豊富な地域では、ナチュラルよりも効率的で品質が安定しやすいウォッシュドプロセスが重宝されました。この方法は発酵と水洗を経るため、雑味の少ないクリーンな風味が生まれやすく、世界中の多くの農園で標準的な精製方法となっています。
5.ナチュラルとウォッシュドの各プロセスが環境に与える影響
ナチュラルプロセス
ナチュラルプロセスは、水を使用しないため、乾燥地帯では非常に環境に優しい方法です。特にエチオピアやブラジルなどの乾燥地域では、貴重な水資源を守るためにこの方法が広く採用されています。ただし、長期間にわたる乾燥中に果肉が腐敗するリスクがあり、品質管理には高度な技術が必要です。また、乾燥に必要な大規模な土地を確保する必要があるため、適切なスペースや管理がなければ、廃棄物や腐敗が発生しやすくなるという問題もあります。
ウォッシュドプロセス
ウォッシュドプロセスは大量の水を使用するため、水資源の豊富な地域で主に行われますが、その一方で廃水処理が課題となります。発酵や洗浄で使用された水には、コーヒーチェリーから流れ出た糖分や有機物が含まれており、これがそのまま川や湖に流されると、水質汚染の原因となることがあります。近年では、この環境負荷を軽減するために、リサイクルシステムや廃水処理技術が導入されつつあります。
6. 精製方法と焙煎の関係

ナチュラルプロセス
ナチュラルプロセスのコーヒー豆は、果実の甘さやフルーティーな風味が強く、浅煎りから中煎りにかけてその特徴が最大限に引き出されます。ベリーやトロピカルフルーツの香りが感じられる一方で、ボディも強く感じられるため、コクのある味わいが楽しめます。深煎りにすると、フルーティーさが減少し、チョコレートやナッツの風味が強まることがあります。
ウォッシュドプロセス
ウォッシュドプロセスのコーヒー豆は、酸味が際立ち、クリーンな味わいが特徴です。そのため、浅煎りでは花のような香りや爽やかな酸味が強調されます。中深煎りにすると、酸味が抑えられ、よりバランスの取れた風味になります。深煎りにすると、ウォッシュド特有のクリーンな味わいが失われ、苦味が前面に出るため、焙煎の段階で注意が必要です。
7. 代表的な産地やブランド

ナチュラルプロセス
エチオピアは、ナチュラルプロセスの発祥地であり、特にイルガチェフェ地方のコーヒーは世界的に高く評価されています。ここで生産されるナチュラルプロセスのコーヒーは、ベリー系の香りと甘さ、複雑な酸味が特徴で、多くのコーヒー愛好家に支持されています。また、ブラジルもナチュラルプロセスで有名で、チョコレートやナッツの風味が際立つコーヒーが多く生産されています。
ウォッシュドプロセス
ウォッシュドプロセスの代表的な産地は、中南米のコロンビアやグアテマラです。特にコロンビアのウォッシュドコーヒーは、酸味と甘みのバランスがよく、クリーンな味わいが特徴です。グアテマラのアンティグア地方のコーヒーも、フローラルな香りと柔らかな酸味が際立ち、深みのある味わいで人気があります。
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まとめ
ナチュラルとウォッシュド、どちらのコーヒーもそれぞれに魅力があります。ナチュラルはフルーティーで甘さが強く、ウォッシュドはクリーンで酸味が際立つといった違いが味わいに現れます。
ちなみに、私はナチュラルプロセスのコーヒーの方が好みです。果実の甘みやフルーツのような豊かな風味が、毎回一口ごとに新しい発見をもたらしてくれるからです。
自分の好みを見つける楽しさも、コーヒーの奥深さを感じられる一つの要素ですね。